奈良盆地におけるノガミ行事に関する研究Web版

43.スミつけ祭り

所在地:橿原市地黄町

県無形民俗文化財指定(平成5年3月5日)
「ノグッツアン、ノガミサン」と呼ばれていたが、子どもたちが墨をつけ合うことが知られるようになり、「スミつけ祭り」「すすつけ祭り」となった。

日程:5月4,5日 子どもが参加する祭りなので、休日の子どもの日に行われていたが、子どもが少なくなったため、2015年以降行われていない。

場所:人麿呂神社(橿原市地黄)から北へ550mの田んぼの中の小さな森

祀られる対象:ノガミ、雨乞いを祈る

行事:5月4日、午後3時半に今年の当屋と次年の当屋が神にお供えしたカワラケの盃で酒を交わす当屋送りが行われる。この盃を子どもたちが割る。子どもたちは当屋の家から人麿神社まで追いかけっこをして、神社境内でススを油に混ぜて作ったスミをタンポのついた棒で塗りあう。背中に「米」という文字を書かれたら終わりでそれ以上、スミを塗られることはない。子どもの身体がスミで真っ黒になればなるほど、その年は豊作になると伝わる。その後、16時半にはスミ付けは終了し、子どもたちは自宅へ帰り、風呂に入って出直す。19時から子どもたちは洪志館に集まり、絵馬を作成する。公民館では大人たちがジャマキを作成する。その日は公民館でお籠りをして、5月5日明け方3時半に当屋、世話役、子どもたちは供えものをノガミに供える。ノガミからの帰り道、「ノガミサン送った。ジジもババも早よ起きよ」と大きな声で歌う。

ジャマキ:稲わらで足八本、角二本、舌三つを三つ編みに細工し、藁で作成した胴体に取り付け、5mぐらいの蛇にする。次に1mほどの青竹に御幣を付けたものを2本ジャに刺す。これはオンと呼ばれる雄とメンと呼ばれるメスである。生の鰤を頭、胴、尾に分け、頭と尾だけを青竹の両端に突き刺した「ブリ」を作る。ワカメを水でもどし、ボールのように丸め、藁で縛り「メエマキ」を作る。奈良県は海のない場所なので、戦前まで魚はとても貴重なものであった。鰤和歌山県から運ばれたと聞いた。

絵馬:(エンマ)は子どもたち板に田を耕作する牛馬の絵を描いたものを2枚作成する。割竹を十文字に組み、持ちやすくする。